十五年ほど前に「はちどりの一滴(ひとしずく)」という童話が大きな反響をよんだ。
燃え盛る山火事を消そうと、はちどりはくちばしにすくった水の一滴をまくために何度も山に向かう。
森から逃げてきた動物たちが、そんな無駄な努力をして何になるんだと笑うと、はちどりは「私は、私に出来ることをしているだけだ」と言って、せっせと作業をくり返すのである。
これは南米アンデスの民話にもとづいているらしいが、改めて注目されたのは、地球の環境を何とかしなければという危機感が日本人に芽生え始めたからだろう。
それから十五年、状況はいっそう悪化しつつある。オーストラリアやカルフォルニアで起こった大規模な森林火災は、まさに「はちどりの一滴」で描かれたような状況である。
地球温暖化による気候変動、環境悪化、食料や水の不足は、今や爆発を引き起こす発火点に近づいている。
「ざぶん賞」はそうした状況を変えようとはちどりのような努力を続け、来年で二十年を迎える。
人間なら成人式に当たるわけだが、はたして我々は頼り甲斐のあるはちどりに成ることが出来ただろうか。
